教員の授業がうまくいかない理由と今すぐできる改善策

「授業がうまくいかないなぁ」
「うまく説明できなかった・・・」
「授業改善の方法をいろいろ試しても効果がない」

授業を良くしようと試行錯誤するも効果はなく、生徒はこちらの努力も知らず無駄話をしたり、机に突っ伏して寝たりしている。

自分は教師に向いてないのかなと考えてしまいます。

でも授業がうまくいかないのは教師の力不足が原因ではありません

授業はそもそもうまくいかないもので、それを裏付ける科学的な理由があります

この記事では授業がうまくいかない理由と今すぐできる改善策をご紹介します。

授業がうまくいかず保護者から苦情をもらった経験もある私が、ご紹介する改善策で生徒対象のアンケートにおいて

「授業に興味・関心・意欲をもって取り組んでいる」と答える生徒 87%
「授業方法に納得している」と答える生徒 90%

を達成することができました。

この記事を読んで授業がうまくいかないという悩みを解消してください。

また以下の記事もご覧ください。

授業はそもそもうまくいかない

教員が生徒に教える形をとる一斉授業が多く行われている授業ではないでしょうか。

その形式の授業がうまくいかない理由を以下の書籍をもとにご説明します。

授業がうまくいかない3つの理由

本書では授業がうまくいかない理由が3つあげられています。

  1. 子どもの多様性
  2. エキスパート・ノービス研究
  3. 子どもたち全員を支援することはできない

子どもの多様性

子ども(生徒)は多様です。

それにより、1人の教師が単一の方法で、子ども(生徒)たち全員にわかってもらおうとすることは不可能です。

西川先生は次のように述べています。

子どもという子どもは一人もいないのです。子どもは一人一人違い、個に対応した指導が必要です。しかし、それは一人の教師では無理なのです。

「わからない」にはさまざまなものがあります。

  • 計算のしかたがわからない
  • 教科書の言葉の意味がわからない
  • 何をやる時間なのかわからない

さらに理解のしかたも生徒によって異なります。

多種多様な生徒に対して、1人の教師が1つの教え方で全員をわからせるのはそもそも無理なことなのです。

エキスパート・ノービス研究

「先生は生徒にうまく教えられない」ということを示したのがエキスパート・ノービス研究です。

エキスパート・ノービス研究はエキスパートとノービス(初心者)の違いを調べます。

この研究でわかったことの1つが、

熟達すれば熟達するほど、初心者に教えられない

ということです。

生徒に対して、「そこがわからなかったの!?」「なんでこれがわからないかなぁ」と思うことはありませんか。

うまく教えられないのは、教え方に問題があるからではありません。

教科の内容を十分理解している教員だからこそ、まったく理解していない生徒を教えることができないのです。

子どもたち全員を支援することはできない

1人の教師が子どもたち全員を支援することはできません

なぜなら教師には子どもがなぜわからないかわからないし、わかろうとするための時間を確保できないからです。

エキスパート・ノービス研究で教師は子どものわからないことがわからないことが明らかになりました。

子どもがどのような支援を必要としているかわかるためには対話が必要です。

しかし、教師1人に対して40人の生徒がいる教室では、1回の授業で1人に割ける時間は1分ちょっとしかありません。

1人の教師が生徒を1人も見捨てないということは不可能なことなのです。

授業改善の間違った考え方

授業を改善しようとして以下のように考えるのは誤りです。

  • 授業の引き出しを増やそう
  • 教科の有用性を説明しよう
  • 教科のすばらしさを伝えよう

これらの方法が有効でないことを西川先生がご自身の経験をもとに述べています。

間違い①:引き出しが多ければ良い授業ができる

授業の引き出しが多ければ良い授業ができるというのは間違いです。

理由は引き出しが多くても学ぶ意欲がない子どもには効果がないからです。

「ニュースや新聞で見つけた教科に関連する内容を授業で伝えても反応がなかった」という経験はありませんか。

教員がおもしろいと思っても子どもにとってはどうでもいいことなのです。

間違い②:教科の有用性を説明する

教科の有用性を説明するのも効果がありません。

なぜなら教科の有用性に興味をもつのはその教科にもともと興味がある生徒だけだからです。

西川先生が定時制高校で物理を教えた際、速度や加速度が車の運転に関係していることを説明したそうです。

説明の後、生徒に言われたのは

「俺たちは物理が分からんけど、ちゃんと運転できるよ」

だったそうです。

私も教科の有用性を説いたことがありますが、生徒は「だから何?」の表情でした。

教科の有用性を説く効果はほとんどないと考えられます。

間違い③:教科のすばらしさを説明する

教科のすばらしさを説明しても授業は良くなりません。

ここでも西川先生の経験をご紹介します。

・・・理科の素晴らしさの話をしました。星の動きも、電気も、全て単純な法則によって動いていることを語り、その美しさを語りました。(略)私の話が終わると、一人の年長の生徒が、「純ちゃん、そんなことが楽しいの?そんなんだったら、授業が終わったら俺たちとつきあえよ。もっと面白いことを教えてやるから」と言ったのです。

教科に関心がない生徒にそのすばらしさに気づいてもらうことはとても難しいことです。

この方法でも授業を改善することはできないと言えます。

今すぐできる改善策

今すぐできる改善策としておすすめしたいのは小林昭文教授の手法です。

授業を「教員からの短時間の説明」「問題演習」「振り返り」で構成し、子どもたち相互の学び合いを活かす方法です。

おすすめする理由は次の2点です。

  • 教員からの説明の時間が残されているので従来の授業からの変化がわずか
  • 課題づくりが容易

詳しくは以下の書籍をご覧ください。

これに対し『学び合い』は難しいと感じました。

主導する教師が『学び合い』の考え方に納得できていないと生徒に説明できないこと、課題づくりの難しさがその理由です。

子どもたち相互の学び合いを活かした授業が現状の最善策と考えます。

まとめ:授業がうまくいかない理由を理解してできることをやる

一斉授業がうまくいかないのは子どもの多様性などの理由があるからです。

決して教師の力不足ではありません

理由を詳しく知りたい方は以下の書籍をお読みください。

現状の解決策は子どもたち相互の学び合いを活かした授業です。

そのような授業のやり方は以下の書籍が参考になります。

本を読んでも解決しない悩みはぜひご相談ください。以下のページからお申し込みいただければ、お話しを聞かせていただきます。

教員限定。辛い気持ち、悩み、愚痴お聞きします 高校8年勤務、過労でうつ病経験した私がお話をうかがいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました