この記事では、関根雅泰著「オトナ相手の教え方」をご紹介します。
この本は、「教える」とは何なのか、何を、どう教えればいいのかを、2つの教え方の本質に基づいて説明しています。
「教える」という行為が整理され、自分が行うべきことがわかります。
「オトナ相手の」とありますが、生徒に対する指導においても十分使える内容です。
教科書の伝達以上の授業をするために
図書館の展示「年度はじめのおすすめの1冊」で紹介されていた本書。タイトルに興味がわきました。
教科書の内容を伝えることで終わってしまいがちな授業をより良いものにするためのヒントになれば、と思ったのがこの本を読んだきっかけです。
おすすめする2つの理由
「オトナ相手の教え方」をおすすめする理由は、以下の2点です。
- 「教える」とは何なのかを教えてくれる
- 「教える」ことの価値を再認識させてくれる
「教える」とは何なのかを教えてくれる
この本では、教えるとは、「獲得・参加・変化の手助け」であるとしています。
教える相手が、不足している知識や技術、求められる態度を「獲得」する、新しい会社になじむ(=「参加」)、言動が「変化」する。
相手がこれらのことを達成できるように手助けすることが、「教える」ということです。
教える手順についても整理されています。教える手順は以下の3ステップです。
- 相手のレベルを把握する
- 相手レベルに合わせた量を教える
- 理解度を確認する
1は、相手の「現状」と「目標」との差を知るために行います。教える目的は、現状と目標の差を埋めることです。相手の現状を知ることが、「教える」の第一歩です。
2では、1で把握した相手の「現状」レベルに基づき、相手が学習できる量を、小分けにして教えます。
一度に大量の情報を伝えても、相手はそのすべてを学ぶことはできません。相手が吸収できる量だけ教えることが重要です。
説明する際には、情報を小分けにすることが大切です。1回ですべての情報を伝えるよりも数回に分けたほうが、相手が吸収しやすくなります。「分けると分かる」だそうです。
3では、教えた内容を相手が身につけたかを確認します。確認方法は次の3つです。
- 言葉にしてもらう
- 文字にしてもらう
- 行動してもらう
どのくらい伝わったかを、相手に表現させることで確認します。なお理解度の確認方法は、1のレベルの把握でも用いることができます。
「教える」ことの価値を再認識させてくれる
この本の最終章で、著者は
教える行為に真摯に向き合うことで、それが次の芽を生み出す可能性がある
と述べています。
教える側のやりがいはここにあると思います。
また、教える側のメリットとして7点があげられています。
2つ、ご紹介します。
①知識整理
「なぜこの仕事をするのか」のように意識的に「なぜ」を考えることで、「無自覚の有能」から「自覚せる有能」に変化することができる。
②マネジメント力の向上
「時間」「課題」「感情」のマネジメント力が向上する。
まとめ
「教える」とはどういうことなのか、教員として何をすればいいのかという疑問を持っている人におすすめの1冊です。
「教える」とは何なのかが定義されることで、自分が何をしなければならないかが明確になります。しなければならないことに根拠を持つことができます。
学校には根拠が不明なまましなければならないことが多いですが・・・
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