敬語でどう言えばいいのか悩んだり、敬語だと思って言ったら変な空気になってしまったことはありませんか。
正しい使い方を理解することで、敬語に関する悩みを解消することができます。
この記事は、三ッ野薫著「敬語のおさらい」を参考にして書きました。
敬語には5種類ある
敬語には以下の5種類があります。
- 尊敬語
- 謙譲語Ⅰ
- 謙譲語Ⅱ
- 丁寧語
- 美化語
それぞれの役割を知ることが、正しく敬語を使うことにつながります。
尊敬語
『相手側または第三者の行為、ものごと、状態などについて、その人物を立てて述べる』ときに使います。
例
「Aさんが言う」→「Aさんがおっしゃる」
「Aさんが使う」→「Aさんがお使いになる」
「人物を立てる」とは、『言葉の上で自分よりも高く位置付けて述べる』ことを言います。
謙譲語Ⅰ
『自分側から相手側または第三者に向かう行為、ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べる』ときに使います。
例
「先生のお宅に行きたいのですが」→「先生のお宅にうかがいたいのですが」
「(先生への)お手紙」「(先生への)ご説明」
謙譲語Ⅱ
『自分側の行為、ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べる』ときに使います。
例
「明日、弟のところに行きます」→「明日、弟のところに参ります」
「(自分の)会社」→「小社」
丁寧語
『会話や文章の相手に対して丁寧に述べる』ときに使います。
例
「今日は、私の誕生日だ」→「今日は、私の誕生日です」
「丁重に述べる」謙譲語Ⅱは、自分側のことを述べる場合にしか使えません。丁寧語は、自分側のことだけに限らず、広い範囲でさまざまな内容を述べるときに使えます。
美化語
『ものごとを美化して述べる』ときに使うもので、敬語ではありません。
例 お酒・お料理・ご祝儀
敬語の使い方
次の2つを基準に考えると、正しい敬語を使うことができます。
- 誰の言動なのか
- お互いの立場や関係
誰の言動なのか
その言動が自分のものなのか、相手のものなのか、それとも第三者のものなのか。それによって使うべき敬語の種類が変わります。
相手の言動であれば「尊敬語」、自分の言動であれば「謙譲語」になります。
お互いの立場や関係を考える
その人物が立てるのにふさわしい人物でしょうか。
「部下がいらっしゃる」とは言いません。部下は立てるべき人物ではないからです。
その人物は、ウチ(自分側の人物)の人物とソト(第三者)人物のどちらでしょうか。
上司のことを社外の人物に話すときに肩書きをつけて呼ばないのはこれに該当します。
自分に決定権がありますか。
自分に決められないのに、「〜していただきます」ではきつい言い方になります。
これは正しい敬語?
ご利用される
「ご利用される」は適切な敬語ではありません。
尊敬語(利用される)と謙譲語(ご〜される)が混同する使い方はしません。
この場合は、「ご利用になる」「利用される」と言うのが適切です。
ご入浴できません
尊敬語の「ご入浴」に対して、「できません」の部分が尊敬語になっていないため不自然になっています。
尊敬語の可能形を否定する場合は以下のように考えます。
- 尊敬語にする 「ご入浴になる」
- 1を可能形にする 「ご入浴になれる」
- 2を否定形にする 「ご入浴になれない」
- 3の語尾を丁寧語にする 「ご入浴になれません」
また「ご入浴」と「できません」の間に助詞の「は」を入れることで、「ご入浴」と「できません」のつながりがなくなり、正しい敬語になります。
「ご入浴できません」→「ご入浴はできません」
(目上の人に対して)お上手ですね
目上の人の能力や技術を褒めるのは避けてください。
褒める代わりに感謝やお礼の気持ちを伝えたほうが良いです。
例 「先生は教え方がお上手ですね」→「先生、大変よくわかりました。ありがとうございます。」
相手の能力や技術を褒めることは、相手を評価することでもあります。相手を評価できる立場にない人が褒めるのは適切ではありません。
まとめ
敬語には5種類あります。
それぞれが誰に対してどんな目的で使用されるのかを理解することが、正しい敬語を使うために必要です。
この言葉は正しい敬語なのかと、一つひとつの言葉を確認するのではなく、どのように敬語を使うかという考え方を理解することが大切だと思います。
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