この記事では、藤沢晃治著『新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール』をご紹介します。
この本の特徴
この本には、分かりやすい表現のためのルールが16個示されています。最終章は各ルールについて、チェックポイント付きで説明されているので、自分の表現を確認する際に便利です。
16のルールを理解することで、分かりやすい表現の考え方を身につけることができます。
おすすめする2つの理由
おすすめする理由は次の2つです。
- 分かりやすい表現を「分かるとはどういうことか」から逆算して考えている
- 分かりにくい原因とその改善策の両方が示されている
分かりやすい表現を「分かるとはどういうことか」から逆算して考えている
この本ではまず「分かる」とはどういうことか、から話が始まります。
「分かる」ということを科学的に理解した上で、「分かる」という行為を容易にするためには、どのような表現が必要かが説明されています。
「分かる」とは、情報が脳の二次記憶に入れられることを指します。よって、分かりやすい表現をするためには、二次記憶に入れやすくすることが求められます。
分かりにくい原因とその改善策の両方が示されている
著者は、分かりやすい表現のルールを次の順序で説明しています。
- 分かりにくい表現の原因を説明する
- 1.から導かれるルールを説明する
まず、分かりにくい表現をあげ、その表現のどこが分かりにくいか、情報の発信者は何を誤っているのかが説明されます。
例えば以下のようなものがあげられています。
出典 「分かりやすい表現」の技術 P98
横浜へ行くのは直進なのか左折なのかが分かりにくくなっています。
次に、分かりにくい表現の原因を踏まえて、どのように改善すべきか(=分かりやすい表現のルール)が示されます。
上の例でいえば、以下のルールが導かれます。
ルール6 複数解釈を許すな
「横浜」を表示する位置を変更することで、複数解釈ができないようにします。
分かりやすい表現の例
この本で記載されている分かりやすい表現の例として、印象に残ったものをご紹介します。
トピック・センテンスを利用する
トピック・センテンスとは、段落の趣旨を簡潔に1、2文で要約したものです。
これを見出しにすると、情報の受け手に主題を事前に伝えることができます。受け手は情報の受信準備ができるので、情報伝達がスムーズになります。
翻訳
直訳が分かりにくい表現の例にあげられています。それを改善するために、著者は翻訳とは以下のようなものであると書いています。
ある言語グループから、別の言語グループへ、意味を伝える作業
翻訳は、ある言語を別の言語に変換する作業では不十分です。意味が伝わらなければなりません。
よって、翻訳者には、原文を理解する力だけでなく、取り扱われているテーマに関する専門知識と自然な日本語を書ける日本語力も必要とされます。
まとめ
この本では分かりやすい表現の「考え方」を学ぶことができます。
「考え方」を学ぶことで、汎用性と再現性が生まれます。
自分が何かを表現するときには、分かりやすい表現の「考え方」を思い出すことで、自分の意図を正しく相手に伝えることができます。
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